岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

やまんばの会

こんにちは。
初めてブログに投稿します、3回生のシミズです。

9月6日、僕はSAの種田さんと滋賀県米原市にある『やまんばの会』という団体を訪問してきました。
やまんばの会さんは里山保全を行っているNPO法人です。今回の訪問の目的は、同じ里山保全
行うものとして繋がりを持つことと、私たちの活動だけでは見えない部分を知り、今後の活動へのヒントを
得るというものでした。また僕が研究する、里山保全活動のNPO法人化について勉強をさせていただく
ことも目的としていました。

イメージ 1

↑やまんばの会の拠点となるロッジ

今回の訪問で、様々な貴重なご意見やお話を聞くことができて、とても勉強になりました。
里山保全にも様々なアプローチの仕方が存在し、私たちの様に農業を積極的に行う形もあれば、
やまんばの会さんのように不用木を伐り明るい森を作るのに力を入れる形もあります。
そのどちらにも学びや良さがあり、私たちが取り入れることのできることがたくさんあると感じました。

やまんばの会のミッションは、
里山の新しい価値を見出し、暮らしに里山を取り戻す」ことと、
「森と水、琵琶湖と私たちとの関わりを次世代に伝える」こと
この実現に向けて下記の4つの取り組みがあります。
1、里山保全
2、里山の資源利用
3、希少種の保護
4、環境学習の支援

イメージ 2


上記の図のようにこの4つの取り組みは密接な関係を持っています。

具体的な活動として、里山保全活動では、不用木を伐り明るい、多様な生物が住める環境を整えています。
もちろん、ただ伐るだけではなく、目的に合わせて伐り、森の中に様々な条件をつくることで、住める生き物の
種類を増やしたりしています。

里山の資源利用では、伐った木を薪として活用し、暖炉に使ったり、ピザやパンを焼くために石窯に利用したり
しているそうです。残念ながら今回の訪問では石窯で作るピザやパンを味わうことはできませんでしたが、
それはもう格別においしいそうです。またウッドチップにして道の舗装に使ったり、カブトムシの寝床にしたり、
ウッドクラフトの材料に使ったり、きのこの栽培に使ったりと、余すことなく使っているそうです。

希少種の保護ではギフチョウが帰ってきたりと成果を出しています。しかしため池にブラックバスを捨てる人が
いたりして、生態系が崩れたりという問題もあるそうです。

僕が個人的に一番興味を持った活動である環境学習の支援では、毎月2回団体などの受け入れを行ったり、
公民館や中学校などと連携を取り、次の世代を担う子どもたちに里山保全の体験をしてもらい、環境を
守ることの意味を理解するプログラムを展開しています。また、モッコクラブという会員制の子どもによる
自由な里山活動などを行っています。年間、約1,500人もの子どもの受け入れをしていて、非常に高い成果を
出されています。

イメージ 3

↑ピザやパンを焼く石窯です。約1,000℃まであげてから余熱で焼くそうです。

環境教育についての具体例として実際に私たちが目にした光景を紹介します。
まず、次の2つの写真を見てみなさんはどういった特徴や違いを感じるか考えてみてください。

イメージ 4

イメージ 5


少々見にくいですが、違いは明らかだと思います。
最初の写真の森はしっかりと手入れが行き渡っていて光が差し込み、地面にはきれいに草が生えています。
しかしその次の写真の森は全く人間の手が加えられておらず、木が好き放題に生え、暗く草も少ない。
この違いを小学生や中学生に実際に見せて、どういった違いがあるのかを考えてもらうそうです。実際に
こういった状況を目にした後に、木を自分たちの手で伐って、また違いを感じるという工程を経て、
人間の手を加えることで生まれるメリット、「木を伐ることは悪いことなのか?」ということを問いかけるそうです。
僕はこの話を聞き、実際に僕自身も目にすることで、このプログラムの良さ、環境教育の大切さを実感しました。

今回、やまんばの会を訪問して得た印象は、「しっかりしている」ということでした。
組織としてプログラムや企画の運営をしっかりと行なうというのは非常に難しいことだと思います。
またそれは、私たちの高山での活動で一番欠けている部分ではないかと思います。
NPO法人だからこそ、このようにしっかりとした組織体制を敷いていかなくてはいけない、そう思いました。
私たちがNPO法人化する、しないという議論はここではおいておきますが、これから私たちの活動を
より一層活発に外部に向けて行っていこうと思うのなら、しっかりとした組織を作るというのは必須だと思います。

そしてもうひとつ、今回の訪問で学んだことは、「繋がり」です。
やまんばの会には地元の人々、土地の所有者との、活動を行う仲間との非常に深い繋がりが存在します。
お話をしてくださった理事の廣瀬さんも、何度も言っていました、
「地元の人々との関係は非常に大切だ」
「土地を提供してくださっている方への感謝を忘れてはいけない」 と。

私たちの活動も地元の方々のサポートあってこその活動です。
情けない話ですが、僕はこれまで、地元の方々への感謝、土地を提供してくださっている方々への感謝を
忘れていました。高山での里山保全活動は、土地を提供してくださっている方々、作業を手伝ってくださっている
地元の方々、そして今の高山での活動の基礎を作りあげてくださった先輩方あってこその活動であると
思い知らされました。そういう意味でも今回の訪問は僕にとって非常に大きなものとなりました。

里山保全活動を行い、得られる最高のモノは何なのか。
そんなことを僕は話を聞きながら、自分たちの活動を振り返りながら、考えました。
里山での活動によって、お米が取れる、生物多様性が維持される、資源の有効利用ができる、
環境について考える機会ができる、など多くのメリットが考えられます。

しかし僕が今回の経験を経て出した答えは、「人」です。
里山保全活動によって得られる最高のモノは、「人」や「繋がり」だと思います。
自分の中でうまく言葉にできず、わかりにくくて申し訳ありません。

最後に、今回お世話になった理事の廣瀬さん、理事長の大林さんをはじめ
やまんばの会の皆様に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
また行かせていただきます♪