岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

9月3日の活動報告~南丹市美山地区にて~

榊原です。9月3日のブログを担当させて頂きます。
本日は京都府南丹市美山地区へ行ってまいりました。美山はかやぶき屋根の家々や豊かな森林、きれいな水源がいまなお残る美しい地域です。僕たち岸ゼミは美山のみなさんとは去年から親しくさせてもらっています。本来ならSA種田さんと行くはずだったのですが、大雨の影響で電車のダイヤが乱れて行けないとのことで、僕一人の旅路となりました。

主な活動内容は、
・今後の活動についての話し合い
・建設中のゲストハウスの荒壁用の土の手入れ体験
・建築中のゲストハウスの柱磨き
です。

アクセス方法は公共交通機関を使って、
京都駅→JR園部駅南丹市営バスでバス停「佐本橋」
です。計1時間40分くらいでしょうか。思っていたより近かったです。ただ、園部駅から佐本橋へのバスが一日3本しかないという…

佐本橋をおりたところです。とてもきれいなところです。
バスや電車に乗っている途中にもきれいな小川や林が見えました。
バスの中では運転手さんと地元の高校生が親しげに会話するという、都会ではあまり見られない光景も目にしました。
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ゲストハウスは佐本橋から歩いてすぐの「かやぶき美術館」横に建設中です。
まずはかやぶき美術館へ向かいました。


かやぶき美術館。美術館といってもどーんと大きな建物が建っているわけではありません。やはりこの屋根はどこかなつかしいですね。建物の中には入っていないのでどういう作りになっているのかはわかりませんが、工芸品づくりなどのイベントが行われているようです。
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すぐとなりには建築中のゲストハウス。今回僕たちの対応をしてくださったのはこのゲストハウス作りの中心となって活動しておられる小関さんらです。このゲストハウスは伝統軸組という工法を用いることで、無駄な金具を一切使っていないつくりになっており、使用されるほぼすべての材料が自然に還る物質で構成されています。さらに長持ち。小関さんいわく伝統軸組で建てられた家は200年持つそうです。
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ひと夏寝かせた荒壁用の藁土。寝かせると土は頑丈になります。これだけでは固すぎるので寝かせていない土と混ぜて使用するそうです。
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寝かせた土(左)と新しい土(右)はこれだけ色が違います。これをまぜまぜするなんて二度と体験できないと思われます。なぜならこの工程は現在の日本ではほとんど失われてしまっているからです。土壁は暑さ・寒さ・湿気調節などを一手にそつなくこなす先人の画期的な大発明です。
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足で踏んだり三つ又を使ったりして混ぜていきます。感覚としては代かきなんかに近いでしょうか。でもやっぱり土の粘り気が違います。土が重いし足は取られるしでけっこうしんどい…。気づけば手に肉刺が八か所も(泣)。でも泥遊びみたいで楽しいです。この作業を土の色が均一になるまで行うそうです。


このゲストハウス、個人的に特筆すべきはここだと考えます。土壁が塗られる骨組みは竹でできています。室田ゼミは竹を燃料にするという利用法を提案していましたが、建築資材としての利用も見逃すことはできません。ただやはり労働力をどうするのか、という問題は残ります。
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小関さん宅にはベルギー製のストーブが置いてありました。このストーブは、普通のストーブでは温度が一気に上昇しすぎて扱えない、スギやヒノキなどの針葉樹林を燃料にできる仕様になっています。これにより、いままで無駄にされてきたあちこちにある放置林から木を持ってきて暖をとることが可能になります。ちなみにこれはパンフレットの写真で、実際のものとは多少違います。
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昼食は美山里山舎の会長さんでいらっしゃる大秦さんのお宅で御馳走になりました。下宿生である僕にとってあのような手料理はまさに砂漠のオアシス。とてもおいしかったです。
また、午後からはゲストハウスの柱磨きを体験させて頂きました。磨けば磨くほど味が出るそうな。さらに、大秦さん所有の田んぼも見せていただきました。すぐ隣にはもう森があります。これがいわゆる「奥山」?小関さんいわく、家の近くには熊の糞がしばしば落ちているそうです。
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小関さんはゲストハウスの建築法のことから将来の暮らし方のことまで、いろいろなことを教えて下さいました。特に、「水」という観点からみた場合、里山というのはある程度の高さをもった高山地以外ありえないという意見が印象的でした。ゲストハウス脇の水路は水源である谷から直接引っ張ってきています。これなら妙な物質が混じることはほぼ無いでしょう。また水路の水は勢いがありました。山間部のためか、角度をつけた水路を容易に作ることができるためなのでしょうか。もしかすると水力発電も可能かもしれません。
環境問題が叫ばれる昨今、美山地区はこれからの人間の暮らし方の鍵となる可能性を秘めています。僕自身、美山に行って里山の在り方というものを再び考えさせられました。そういった意味で今回の活動は普段の生駒高山での活動とは一線を画すべきものとなりました。美山いいところですよ。ちょっと不便だけど。あ、もちろん高山もいいところですよ。
最後になりましたが、小関さんや大秦さんご一家はじめ、本日僕の面倒を見てくださった美山関係者の方々に心よりお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
以上で9月3日の活動報告を終わります。