岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

5月17日の活動報告~滋賀県竜王町NICCO琵琶湖モデルファームにて~

こんにちは。三回生の柳田です。遅くなりましたが5月17日の活動報告をさせていただきます。本日の活動はほぼ個人的なものなのでブログに載せるべきか迷いましたが、エコサントイレについて周知徹底、ゼミ生の情報統一という意味合いで書かせていただきます。

本日の活動は小峠にて地元の方たちと共同草刈りですが、釈野君と僕は滋賀県竜王町にあるNICCO琵琶湖モデルファームへと行きました。主な目的はエコサントイレについて学ぶためです。NICCO(日本国際民間協力会)とは、アフリカのマラウィや中東で現地の人々のために、環境と収入を同時に維持できる総合的な村落開発、職業訓練や人材育成、緊急支援などを行っているNGO団体です。詳しくはhttp://www.kyoto-nicco.org/ を参照下さい。そして滋賀県竜王町にNICCOの琵琶湖モデルファームがあり、農や環境保全国際貢献の分野における人材育成、途上国へのモデル構築、生物多様性保全地域活性化を目的とした活動を行っています。琵琶湖モデルファームでは竜王地球農村塾と題して月に一度「総合学習編」「有機農業編」をコンセプトにワークショップを開催しています。(詳しくはhttp://tinyurl.com/cskoyl を参照) その一環として昨年夏に琵琶湖モデルファームは建築専門家を招いてエコサントイレを建設なさっています。僕は琵琶湖モデルファームの方に、エコサントイレの建築資材、建築方法等についてご教示下さい、という主旨のメールを送りました。するとぜひ一度視察にいらしてくださいという好意的な返事をいただき、17日に開催される有機農業編のワークショップに参加することになりました。17日のワークショップ内容は「土つくりについて」「夏野菜の作り方」「緑肥作物播種」「団粒構造チェック」なのですが、このワークショップが終了してからわざわざ僕たちのためにスタッフの方々が残って下さってエコサントイレについて詳しく教えていただきました。NICCO琵琶湖モデルファームチームの方々、本当にありがとうございました。僕がエコサントイレについて知りえたのは琵琶湖モデルファームのエコサントイレの写真が新聞に掲載されていたからでした。その切り抜きを今も大事に持っています。それを実際に見られるとは夢にも思いませんでした。うれしい限りです。

ここでもう一度エコサントイレについて説明します。エコサンとはエコロジカル・サニテーション(生態系を考えた衛生対策)の略でエコサントイレとはし尿分離型のトイレです。大便小便を別々の層にため、大便は灰をかけて乾燥させます。灰をかけることでpHを上げ微生物の働きを活発にして有害物質を分解させます。乾燥させた後、土壌改良材として畑に撒きます。小便は水で薄め、そのまま畑に撒きます。尿は肥料の三大要素である窒素、リン、カリウム、そして実を大きくする酢酸インドールも含まれ、通常は無菌です。
全世界では25億人以上が衛生的なトイレを使えずに感染症が蔓延しています。また化学肥料を作るためには石油や天然ガスなどの化石燃料を使用します。エコサントイレは衛生保全、資源循環という二つの側面を持ち、これらの問題を解決しうる優れたトイレなのです。

僕がエコサントイレを作りたいと考えた理由は小峠の土地が痩せていって収穫量が年々減少していますし(化学肥料を一切使っていませんから…)、今のトイレは衛生的に良いものとはいえず、悪臭もするし、穴を掘ってビニールシートで遮っただけなので特に女性陣が使用するには不憫だからです(今のトイレを作った先輩方、めちゃくちゃ言ってごめんなさい)。エコサントイレを作ればこれらの問題を解決できるはず!と僕は考えたわけです。

本日は午前中に琵琶湖モデルファームの畑で実習を行い、午後にNPO法人有機農業技術会議代表理事の西村和雄先生の講義を受けました。参加者は20名ほどです。年齢、職業もバラバラです。皆さん西村先生の話を熱心に聞き入っています。

午前中は主に夏野菜の苗を植えました。写真中央が西村先生です。西村先生の一言一句が大変勉強になります。
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トマトの苗を植えました。成長してから支柱を立てると根を傷つけるかもしれないのですぐに支柱を立てます。ここからが面白いのですが、トマトの原産地は南米のアンデス高原でもともと水分をあまり必要としません。そこで西村先生は水を多く必要とする枝豆をトマトの苗のすぐそばに植えるというのです。なるほど、確かに合理的です。西村先生が長年の経験で編み出した技だそうです。コンパニオンプランツ(共栄作物)の一種と言えます。
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キュウリの苗も植えました。支柱を逆V字に組み合わせて、ツルがまきつくネットを張ります。このときピンと張るのがポイントです。このネットを張るのに糸が絡まってかなり手間取りました。ネットの代わりに支柱で格子状にしてもよいそうです。ただ僕はこういうネットや支柱はプラスチックでできているのであまり使いたくないです。小峠では竹を使いましょう。岸ゼミクオリティーです。
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こちらはカボチャの苗です。周りに刈った雑草を敷きます。これは刈り敷きと呼ぶらしいです。草を敷くことで周りに雑草が生えなくなりますし、草の下の湿った場所に虫(ダンゴムシなど)が集まり苗に虫が寄り付かなくなるそうです。
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午前中はほかにサツマイモの苗を植えたり、なっているイチゴやさやえんどうをそのままボリボリかじったりしました(ここの畑も有機農業で化学肥料は使っていませんからそのまま食べても大丈夫です)。僕がこの畑に来て一番驚いたのは土です。小峠の畑とは全く違います。小峠の土は白っぽく堅くて乾燥していますが、ここは黒くて柔らかくてしっとりしています。いかにも野菜が育ちそうな土です。どうやったらこんな土ができるのでしょうか。午後はその土づくりについて西村先生から教えていただきます。

午後は琵琶湖モデルファームの通称オヤシキ(ゲストハウスです)で西村先生から土作りや緑肥作物について講義を受けました。
まず理想の土を作るためには地上のバイオマス(生物体の量)を1とすると、地中は10、微生物は100のバイオマスが必要だそうです。だからこの地中の生物体と微生物を育てること(育土)が重要です。育土のために生物体の食べ物、つまり植物が必要です。積極的に使うのがマメ科とイネ科の植物だそうです。それぞれに人が半袖と長袖を着る時期に育てる植物があります。
マメ科の半袖植物がクロタラリア、セスパニア(湿気を好む)、エビスグサ(刈りどきは花が咲く直前)、くず大豆、アズキ(ネムノキが咲くころがまき時)です。マメ科の長袖植物がクローバー、ラジノクローバー(どちらも果樹園に)、アルサイクロクローバー、クリムソンクローバー(西村先生おススメ)、ヘアリーベッチ(筋まきに)です。
イネ科の半袖植物がギニアグラス、ソルゴー、陸稲(先生いはく、あまりおいしくないとか…)、ソバ、トウモロコシです。イネ科の長袖植物がケンタッキー、ブルーグラス、ペレニアルライグラスです。
正直、ほとんど知らない植物ばかりです。種を見せていただきましたが、どれもすぐに入手できるようです。小峠で何か一つ試してみるといいかもしれません。西村先生はとにかく植物を細かく観察し、遊ぶこと(いろいろ実験してみること)が育土には大切だとおっしゃっていました。
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それからEMぼかしの作り方について教えていただきました。EMぼかしとはEM菌(様々な有用な菌が集まったもの)と米ぬか、油かす、糖蜜などを混ぜて作ったものです。このEMぼかしを生ごみにふりかけ、1,2週間おくとにおいのしない肥料となります。西村先生の指導のもと実際に作ってみました。↓
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ゴミを資源として利用するのは素晴らしいことですが、小峠ではあまり生ごみは出ないのでこれは主に各家庭でするのがよろしいかと…一度試してみては?

午後の講義の内容はおおよそ以上です。講義が終わった後、今日採れた野菜と西村先生からのお土産の種(食用ヘチマ、落花生、スイートコーン、里芋)をいただき解散しました。時間はすでに6時近くとなっていましたが、僕たちのためにスタッフの方々が残ってくださいました。本当にありがたいです。
エコサントイレは午前中に実習をした畑に建てられていました。これ↓がエコサントイレです。建設時間は大人10人で8日間、費用は8万円したそうです。主な建設資材はセメント、鉄筋、砂、砂利、レンガ、竹、ベニヤ板などです。横に立っているのはスタッフの後藤さんです。
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トイレの中です。臭いは全くと言ってありませんでした。便器が5セントほど高くなっていて穴が三つあります。両端の二つが大便用、真ん中の小さな穴が小便用の穴です。なぜ大便用の穴が二つあるかというと(もちろん大便をためるタンクも二つに分かれています)、片方で大便が乾燥し肥料になるまで時間がかかりますからその間、もう片方を使うわけです。今は右側を使っているわけです。それから言わずもがなですが男性もしゃがんで用を足してくださいね。
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大便のタンクです。大体一般家庭で半年でいっぱいになるそうです。中に水分が入らないように蓋にはアクリル板をはりつけています。
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トイレの後ろ側です。青いポリタンクがありますが、そこに尿が管をつたって溜められるわけです。尿は10倍に薄め、ある程度たまってから畑にまきます。写真上に細い灰色の管がありますが、これは中を掃除したときの排水用の管です。前述の便器が5センチ高くなっているのは掃除をした時に大便のタンクに水が入らないようにするためです。
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[文字数の都合上、次に続く]