岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

茶筅作り体験~茶筅発祥の地より~

どうも三回生の丹内です。
我々のフィールドがある高山は茶筅発祥の地として有名で、その生産量は日本の茶筅の生産量の90%をも占めており、冬には田畑で寒干ししている光景が見られます。
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そして、高山が誇る伝統文化である茶筅作りを一度体験してみたいという要望がゼミ内でもあり、有山さんにご相談したところ翠華園という茶筅工房を紹介していただき、6/30(土)に茶筅作り体験をさせていただくこととなりました。
 
 
始めに店主の谷村弥三郎さんより、茶筅の歴史をお話しいただき、実際に原竹からの工程の作業を見せていただきました。
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現在の茶筅の日本における年間消費量は約80万本であるが、そのうち30万本が日本で作られており、残りの50万本は中国産であること。さらにはそのことにより茶筅という文化が失われつつあるということをお話しいただきました。日本で作られた茶筅は普通の物はだいたい2000円~4000円程度らしいのですが中国産のものは数百円で売っているそうです。それに負けないように大阪万博が開かれた頃に、職人同士で技術を共有し、茶筅作りをさらに洗練させていったそうです。しかし、中国産のものに圧迫され、さらに、茶事を嗜んでいる人が減ったこともあり、現在茶筅作りの現状は厳しいと仰っていました。
 
それを聞き、お茶を立てる文化のない中国に日本が誇るべき伝統文化の生産を奪われつつあるということが何かおかしく感じました。
 
 
まぁ難しい話はこれぐらいにしておき、茶筅作り体験についてお話させていただきたいと思います。
 
茶筅作りで行われる工程は↓の図の通りです。
 
私たちが今回体験させていただいた工程は
上編み×2
腰ならべ
仕上げ
の三つです。
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翠華園HPより転載
 
なんだ全部やらないのか
と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、正直に申し上げますと、最初の方の工程はとても素人にできるレベルではないです(笑)
 
まず上糸編みを行っていったのですが、やり方としては二本の糸を編みこんでいき、外穂を広げていきます。
簡単そうに見えるのですが茶筅の先が細かく、どこに糸を通したかわからなくなり、皆さん、特に私なんですが悪戦苦闘しておりました。
 
その後、腰並べという工程にはいるのですが、これはへらを使い、茶筅の間隔、上下を均等にし、綺麗にそろえていく作業です。
これもまた神経を使い、もう皆さん目が限界といったところでした(笑)
 
 
 
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上手くいかなかった部分は職人さんに仕上げていただき、無事なんとか皆茶筅を作ることができました。
 
 
最初は我々のフィールドでも淡竹があるので実際に作ることができないか、など考えていた部分もありましたが、素人に真似することなどできない匠の技であり、そのような考えはすべてにおいて甘かったです。しかし、伝統文化の保全という点において、何か我々でもできることがあるのではないか、もしくは考えるべきことがあるのではないかと思うので、またゼミ内でも今回の活動を報告し、話しあってみたいと思います。
 
ここからは今回の活動において感じた私個人の考えとなります。
 
私は正直な話、今の世の中は残念なことに、伝統や誇りといったものだけではやっていけないと思っています。若い人が希望を持って打ち込める仕事にし、職人を増やし、この素晴らしい文化を日本で守っていくにはどうすればよいか?ということをいろいろ考えてみましたが、世は大量生産・大量消費の時代であり、現実は難しいものです。
人間は今の世の中において、本当に幸せですか?と問われるとほとんどの人がうなずくことはできないと思います。人の欲は果てしなく際限のないものですが、便利さや大量生産による物品の安さだけを求めるだけではなく、質の向上を求める社会になってほしいなぁなどと思ったり・・・(決して昔の生活に戻りましょうということではないです)
 
いろいろ考えてはみましたが、結局考えがまとまらなかったので今回はこのぐらいで終わらせていただきます。
 
 
最後になりましたが、ご紹介していただいた有山さん、谷村弥三郎さんを始めとする翠華園のみなさん、今回このような場を提供していただき本当に感謝しています。ありがとうございました!
 
以上で報告を終わります。