岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

7月9日 草取り

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中山です。

木下さんが来られるまでの、午前中の作業を中心に報告します。

この時期の、水田稲作においてもっとも重要な作業のひとつとして、
「草取り」があげられます。
梅雨後半の、じめじめとしていながら気温が高く、
不快極まりないこの時期に、「実践経済学」があえて開講されているのは、
「草取り」を経験するのが第一義的にあると思っています。
よくある稲作農業体験では、
「田植え」と「稲刈り」程度を経験するのが一般的です。
しかし、カリキュラムとして、
「苗」と「稲穂」の中間をみることは、
意味の深い意図があることを裏付けています。

さて、作業風景です。
イメージ 2TA青山さんを先頭に、和田ゼミの面々が横一線にならんで。

イメージ 3途中からは、和田先生も参戦。お昼休みまでに、再生水田二枚と不耕起田の一部まで終了。

イメージ 4僕は、先週刈り上げた畦草を焼いておきました。

12時半から1時間ほどの昼休みを挟んで、午後の作業を再開しました。
午後の作業内容については、木下さんの記事に譲ります。
木下さんが帰られた後は、残りの分を唐箕がけして、
片付けをして、帰り支度です。
夏至を過ぎて、はや半月あまり。
日暮れも早くなってきて、19時頃には暗くなってきます。
19時半に現場を離れた時には、すでに真っ暗でした。

追記
コラム「コナギと手取り除草」
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とくに不耕起水田の草取りを行ったみなさんは、
一面の草を取ったわけですから、見覚えがあると思いますが、
この写真は、小峠の谷の水田に生えている、
ミズアオイミズアオイ属」の「コナギ」です。
「コナギ」は、イネの伝来に伴って持ち込まれ、
帰化したものといわれています。

いまでも、東南アジアの一部の国では食用とされているそうです。
わが国においても、昔は葉を茹でて食べていたことから、
古名では、「菜葱=ナギ」と呼ばれてたそうです。
取らずにそのままにしておくと、
水田の水面が見えないくらいにまではびこり、
8月末頃に、紫色の花を咲かせます。
一見「美しい」と思ってしまいそうですが、
「コナギ」は、
「イネ」と養分を取り合い、また、遮光してしまうので、
「イネ」の収量に影響を及ぼすと言われています。
「コナギ」は、
「ヒエ」とともに
「雑草」あるいは「害草」
ということになってしまいます。

ただ、「コナギ」は農薬(除草剤)には反応しやすいそうです。
ですので、水田に「コナギ」の大群がいるということは、
農薬を使用していないことの証でもあります。

さて、われわれは「イネ」を栽培しているのですから、
雑草は極力排除したいと思うわけです。
ここで、与えられた選択肢は、
手取り除草を行うか、あるいは除草剤を散布するか
ということになります。

宇根豊氏は、
科学登場前後では「百姓の知」への見方は全く変貌し、
「その仕事の充実感や達成感」は評価に含まれず、
「草取り後では『稲が喜んでいる』」などという世界は
見事に切り捨てられ、名残すらなく、
労働時間・強度、収量増加、費用、環境影響などの
利害(経済)からのみ語られるようになり、
昭和の初期には技術的に確立していた
「手取り除草(除草機も含めて)」
は息の根を止められ、
「除草剤」万能の近代化農業技術に
席を譲ることになった。
と述べています。(*)

さて、われわれは手取り除草を選択し、
そして実行しているわけですが、
宇根氏が切り捨てたと指摘する外部経済を、
経済学はどう考えるのか、あるいは、
「実践経済学」はどう捉えるのか。

そんなことを考えながら、夏の草取りをしてみるのも
面白いかもしれません。
(暑くてそんなこと考えてる場合じゃない!!
 かもしれませんが、こういうのは、作業終えて、
 家に帰って、ふと思いついたりするものです。笑)

いっぽうで、『現代農業』(農文協)2005年5月号は、
コナギを活かす(食う!)ための試行錯誤の
特集をしています。
こういった動きも、「実践経済学」にとっての
一つのソリューションかもしれません。

(*) 宇根豊(2003.11)「生物多様性の技術化の要件」
  『環境創造型農業シンポジウム 第3回冬期湛水水田シンポジウム
   ビデオ配信&資料集』 p.p12-24
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コメント(3)
    【コメント】2006/7/11(火) 午後 9:02

中山さん、午前中からの草取りご苦労さまでした。また加筆ありがとうございました。 確かに授業を単なる農業体験イベントとして終始させたくないですね。できるだけ作物の世話は、最初から最後まで携わっていけたらと思います。[ 木下 ]


    【コメント】2006/7/14(金) 午前 3:23
>きのぴー。 コメントありがとうございます。「世話」というよりは、自然的循環を僕ら人間がうまく使えていけるように、「手を入れる」ってな感じで、見ていくといいんじゃないかな。畑の「世話」をするみんな、とても素敵な事なのですが、ちょっと過保護気味のような気もしたりしつつ。笑 でも、まあ、作物の成長を見ているのは、本当にかわいいくて、おもしろいものですよね☆ [ たくお ]


    【コメント】2008/2/29(金) 午前 3:16
こんばんは!宇根豊氏つながりでTBさせて頂きます(*^^)v
よろしくお願いいたしますm(__)m 小笹山荘