岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

9月23日の活動報告~美山にて薪割り体験と座談会~

3回生の内藤です。9月23日の活動報告をさせていただきます。

本日は美山での活動となりました。今回の参加メンバーは、TAの中山さん、榊原君、森下君、
2回生の松本さんと私でした。

私は今回が初めての美山訪問だったのですが、山々に囲まれた雄大な自然と、
美しい茅葺の伝統的な日本家屋が共存するその見事な光景に圧倒させられました。景色を
眺めているだけで心が満たされていくような、本当に素晴らしいところです。

美山に到着した私たちはまず最初に建築中のゲストハウスで小関さんのお話を
うかがうことになりました。この場では興味深い話をたくさん聞くことができました。

私たちがお話をうかがったゲストハウスには、すべて土に還るような素材しか使っていないそうです。
現在都市部でごく普通に見られるような家に使われているコンクリなどは一切使っていません。
このような家を建てるには水が大変重要で、水路の近くにしか建てられないそうです。
実際このゲストハウスのすぐそばに水路がありました。
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また、このゲストハウスに使われている木組み技術は、鎌倉時代から変わっていない完成された
ものなのだそうです。十分完成されているから手を加えれば逆にだめになってしまうもの、
それがこの木組み技術なのだと小関さんは仰っていました。ベストな技術だからこそ鎌倉時代から
そのまま残っている、それほどこの木組み技術は素晴らしいものなのですね。

この日は外の気温は暑かったにもかかわらず、ゲストハウスの中は風通しが良く、
涼しかったことにも驚きました。このゲストハウスのような家はその構造上
夏でも冷房要らずなのだそうです。そのかわり冬は寒いので、ストーブを設置するとの
ことでした。このゲストハウスのストーブはもうすぐ届いてくるらしく、楽しみです。

小関さんはこの木組み技術を用いた家で、自分以外の誰かから供給されるエネルギーがストップした時に右往左往しないような生活ができればいいと考えておられるようです。ちなみにそのエネルギーの中でも電気エネルギーを自ら生み出す手段として、水が豊富な美山では水力発電が実現可能なのだそうです。

私はこのゲストハウスに使われているような木組み技術を用いた家に関して、耐震性について
質問してみたところ、清水寺などのことを考えてみれば答えは明白、という返答でした。
小関さんに教えていただくまで気づかなかったのですが、清水寺など、古くからある寺院に
用いられているのも、このゲストハウスと同じ木組み技術なのです。清水寺が何年もの間京都に
健在していることを考えれば、その頑丈性はおのずとわかってきます。

ただ、小関さんの話によると、このような木組み技術を用いた家は、法律などの関係で自由に建てることがどんどん難しくなっているということでした。このような家を建てることができるのは美山のような限られた場所だけなのだそうです。大変残念なことだと思います。

大工さんが使う差し金を見せていただきました。長さの目盛りは裏が表のルート2倍になっており、これは日本独自のものなのだそうです。この差し金の仕組みは家を建てるときの角度に大変役立つものだということでした。
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小関さんのお話をうかがった後、薪割りを始めました。
最初に小関さんに見本を見せていただき、一人ずつ体験していきました。
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割ろうとしている薪の手前に置いている3つの薪は、慣れない作業で勢いあまって足に斧が当たらないようにと、小関さんが置いてくださったものです。私自身危ない手つきだったのでこれにかなり助けられていたと思います。

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2回生の松本さんもチャレンジの末、初薪割り成功です。
初めての作業に積極的に取り組んでくれました。

この薪割りも何度も繰り返していくうちになんとなくコツがわかっていき、みんな徐々に上達していきました。固くてなかなか割れないものに関しては、斧で切り込んだ上から金槌で叩いて割り切るという方法も使いました。また、小関さんの話によると、薪割りのコツは「木元竹先」なのだそうです。つまり木は根元に近い側、竹は先(空)側から割ると割りやすいということです。ただ木のどちらが根元側なのかを見分けるのはこれまた難しいことだと思いました。

薪割りをしている間に、昼食の時間が来たので全員一度作業を中断して
昼食休憩をとることにしました。

昼食休憩を終えた後、薪割りを再開していたところ、小関さんから炭焼きのかまを見学しに行かないかと声をかけていただき、見学に行くことになりました。

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炭焼きのかまを見学に行く途中、ヤギのユキちゃんを紹介していただきました。
とても人懐っこくて可愛かったです。

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この場所は雪解け水で水かさが上がった際にはアマゴ(イワナ)釣りができるそうです。

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これが黒炭のかまです。

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これが白炭、いわゆる備長炭のかまです。
こちらのかまの方が黒炭のかまより新しいそうです。

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手入れが行き届いており、木と木の隙間から差し込んでくる木漏れ日がきれいです。

炭焼きのかまの見学からゲストハウスに戻り、再び座談会が始まりました。
話の内容は、人を美山に集めるためにこれからどのようなことをしていけるか、というものです。
この話は生駒高山の里山においても大変参考になる話だったのではないかと思います。

里山保全には人が来ることが欠かせません。里山に住んでいない人たちに、どのようにして里山に魅力を感じてもらうかがポイントになってきます。また、美山では住民の高齢化が進んでおり、65歳以上の方の割合がなんと60%なのだそうです。そんな状況の中、美山に住んでおられる70代後半の方は元気な方が多く、これは自分で作ったものを自分で食べていることと関係があるのではないか、ということを小関さんは仰っていました。さらに、このような方々が持っておられる、化石燃料に頼らない昔ながらの技術、例えば牛による農耕などの技術を学び、継承していくことは今後大変重要になってきます。ただ、その技術を伝授していただくためには長く美山にとどまる必要があるということも仰っていました。

里山に魅力を感じてもらうためには、里山においしい食べ物があり、経済的利益があり、なおかつ楽しいことができるという3点が重要だと小関さんは仰っていました。川の上流域の充実が重要、ということも繰り返し言っておられました。美山でできることの一例として、大豆やウルシ、アユの干物などの話もうかがいました。茅や竹の経済的価値の話もうかがいました。小関さんは私たちからの新しい企画の提案を望んでおられます。私たち岸ゼミ生が新しい案を出していけば、美山の可能性はますます広がると思うし、このようなことを考えることは生駒高山の里山にも活かせるのではないかと思います。小関さんのお話は本当に興味深かったです。

座談会の後、建築中のゲストハウスの2階に上らせていただきました。
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私も上ってみましたが、予想以上に怖くてすぐ降りてしまいました。

この後は再び薪割りを再開し、私は小関さんのお宅で生きた玉虫を見せていただきました。
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玉虫を生で見るのは初めてでしたが、とてもきれいで感動しました。

薪割りをキリのいいところまで終わらせ、今回の美山での活動は終了となりました。
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本日の薪割りの成果です。

今回の活動では小関さんからたくさんの興味深い話を聞かせていただき、さまざまなことを考える良い機会になりました。また、初めての美山訪問でその雄大な自然に心が癒されたような気がします。次の美山での活動の機会には是非また活動に参加したいと思います。

以上で報告を終了とさせていただきます。