岸基史ゼミ活動日誌

同志社大学経済学部岸ゼミナールです!里山きゃんぱす(奈良)での里山保全活動や物販活動など日々の活動を報告しています!

美山報告②

福井です。経済学部に環境改善補助費プロジェクトとして申請した『美山団栗山再生プロジェクト』。
第一回目はゴールデンウィーク、竹澤工房のお手伝い、そして団栗の苗を7本植えてきました。
第二回目となる今回は9/15,16,17に同じく竹澤さんのご自宅でお世話になりました。
本プロジェクトは『団栗山再生』と名付けていますが、我々学部生は現地に行ったこともなく、当然美山の現状を把握できていませんでした。その中で、竹澤夫妻、遠藤さん、村の人びとの話を聞くこと、また実際自分達の目で山の状況を把握することで、はじめてこのプロジェクトが進みだします。そうゆう意味で、今回まではプロジェクトを進めるための「美山現状把握」であると福井は思っています。



さて今回の美山報告に入ります。
今回は岸さん、岸ゼミ3回生の小畠君、私福井が参加しました。
竹澤さんのお家に到着したのは、15日の6時過ぎ。入口にはなんとヤギが!竹澤さんが、知り合いのかたから預かっているようです☆  
到着し、早速薪風呂に入らさせてもらい、食事を頂きました。この日は鮎飯。
前回の美山報告でもお知らせしましたが、竹澤さんの家では囲炉裏を囲んで食事をします。
岸ゼミの小畠君もこの雰囲気がお気に入りになったようです。



ここから美山の現状として貴重なお話を竹澤さんから聞くことが出来ました。
現在、竹澤さんの山にダム建設案が第5案出ているらしいのですが、
それは何百年に一度起こるかどうかの土砂崩れのために建設されるらしいのです。
山間地に造られるダムは、大量の土砂を貯水池にためる役割を持っています。
そのダム1案では現在竹澤工房が炭焼きを行っている場所、またご先祖様のお墓の場所に建設予定になっています。しかし竹澤さんが危惧されているのはそれだけではありません。
山間地にダムを建設するためには、当然トラックなどを通す林道が必要です。山を切り開き、林道を作る、それこそが土砂崩れの原因となります。何百年に一回起こるかどうかの土砂崩れのために、本来あるべき山を切り開く必要性が本当にあるのでしょうか・・・
今本当に美山に必要なことは、適切な山の管理・手入れであると福井は考えます。話の続きは後ほど・・・



二日目は朝飯前に一仕事する予定でしたが、少し朝寝坊。朝ごはんを頂いた後、9時半くらいから山へ。
今回は竹澤さんが植えられたヒノキの周りの下草刈りを体験させてもらいました。前回の美山報告で防獣ネットの修復作業がありましたが、そのネットを少し超えて登った場所での作業となりましたが、
なぜスギではなくヒノキなのか?竹澤さんのお話によると、スギよりヒノキのほうが成長が遅く、スギほど早く成長してしまうと、その地に存在する松の木が枯れてしまうそうです。よって成長の遅いヒノキを育てるのですね。

しかしこの下草刈りは本当に辛い。下草にまぎれている山椒の枝や松などを切らぬようはじめは丁寧に作業していましたが、1時間くらい経つともう雑くなってしまいました。下草刈りでは、本来は草刈機を使用すればよいのですが、過ってヒノキを切ってしまってはいけないため、この日は鎌(鎌といっても普段里山で用いている小さな鎌ではなく、もう1サイズ大き目の鎌)での手作業でしたが、これぞ山仕事!福井は2時間足らずでばててしまいました。我々の感覚でこのようなことを言うのはどうかと思いますが、
実際このような下草刈りなどの山の手入れ労働を日当にすると、いくらくらいが適当なのでしょうか?
山の手入れ作業にきちんとした労働費、労働補助費が支払われなければ、このような作業をし続けることは不可能です。 またこのようなことから、山村地域の人離れにも繋がるのだと思います。



さて一仕事(と勝手に思っています)終えたところでお昼ごはん。
ちなみにこの時期の美山の一日のサークルは
起床→朝早くに山仕事→お昼→昼寝→夕方山作業再開→夜飯  だそうです。
このサークルに乗っかって、大した作業もしていないのにもかかわらず我々もお昼寝してしまいました。
4時に再び動き出し。忘れてはいけない、前回植えてきた団栗の苗はどうなったのか。早速、団栗の状況を調べに山に登りました。
葉が生えている苗が何本か・・・ 全く葉がついていないものも何本か・・・
とりあえず、あまり刈るものもありませんでした、とりあえず邪魔になる草枝はカット。


しかしここで考えなければならないのは、植林をする、ここで実際に大事なことは、岸ぜみ小畠君の言葉を借りると、「アフターケアー☆」。植林後の定期的な下草刈りなどの手入れが一番大事です。実際植えた場所を1年ほっておくとどうなるでしょう。苗など見えないくらいの雑草に埋もれてしまいます。植林は植えるのが目的ではありません。植える者がいて、それを適切に管理する者がいてはじめて植林の意味があります。っとふと思いました。


そんなことをしているうちにもう日暮れ。この日の晩飯は生きのいい取りたての鮎の塩焼き。
お昼の鯖といい、鮎といい、本当に毎度のことながら新鮮な料理を頂いています。


この時に玲子さんから、非常に心に響く言葉を聞くことができました。
「このような山や農村の環境のことを考える時に、利益・儲けや効率性を考えれば、なんだぁと思うことでも、一人ひとりの環境への意識が大事。例えば木炭でも燃料としては微々たるもの、でもそんなことは数値やお金で判断するものではない。」
私もそう思います。論文の世界では、効率性・便益がない、コストがかかるなどの問題を指摘し、それを解決するために、外部性や環境コストなどの計算をして、議論している、これが本当に環境のことを考えた「経済学」なのでしょうか? 実際の現場ではそのような理屈では考えられないようなことが起こっています。ダムのこともそう、成長期から資本・儲けに走った日本、環境(エコ)という言葉がブームになっている現在、そのエコという言葉を使うことが目的になっており、実際、山村地域からの声は皆さんに届いているのでしょうか。そんなことを考えさせられました。



最終日は朝飯前6時過ぎから、竹澤さんの団栗などの苗が植えてある平地の下草刈りを行いました。
この時間帯は涼しく、作業にはもってこいの気温でしたが、やはりしんどい。結局苗の周りを切るくらいに終わってしまいました。何度も言いますが、この作業、地味でしんどいです。一時間ちょいで作業を終え、朝飯。皆さんお気づきかもしれませんが、この3日間ずっと食べているような・・・


この後は玲子さんによる美山ガイド☆売りに出す予定の家などを拝見しました。美山から大学に通う気がある元気な学生は竹澤さんに連絡してください。


ちなみにこの日、竹澤さんの紹介で、京都新聞で記事を書かれている方とお話することが出来ました。
その方のお話では、美山町ではもうすでに、京都大学、仏教大学、立命館大学関西大学さんなどがフィールドとして活動していて、記事にされたことがあるらしいのですが、同志社大学はまだそのような取り組みはなされていないようです。近々、我々もこのプロジェクトについてもっと明確に練り直し、取材していただけるような形にしなくてはなりません。

今回までで美山現状視察は終わりです。次回からは美山でいかなる取り組みを行っていくか、団栗山を再生させるための活動に関する具体的な計画を立て、近いうちに現地に行かなくてはなりません。